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Windows 11でスリープ中にバッテリーが減る原因は?

閉じていたノートPCの電池が減っている。原因を探す前に、SleepStudyで確認したい数字を4つの例で比べます。

powercfg /aでModern Standbyを確認し、SleepStudyの長いDC Sleep session、消費率、DRIPS、Top Offenderの順に見る流れ

結論

まず確認するのは1時間あたりの消費率と、低電力状態で過ごせた時間です。SleepStudyの記録は次に調べる箇所の材料になり、原因や故障を単独で断定するものではありません。

検証概要

検証日
検証条件
自作ファイル・条件・実測結果は本文に掲載
再現用ファイル
本文に作成条件・確認方法を掲載

スリープ中でも、アプリや通信、接続機器の処理で電池を使うことがあります。ただ、電池が減ったというだけでは、何が原因かまでは分かりません。

まず見るのは「1時間に何%減ったか」と「低電力状態で過ごせた時間」です。

SleepStudyは、スリープ中の消費と活動を記録するWindows標準のレポートです。低電力状態と必要な処理を行き来する「Modern Standby」という方式に対応したPCで使えます。

今回は数値をそろえた合成SleepStudyレポートを使います。実機の故障診断ではなく、記録をどう読むかを確かめる比較です。

自分のPCでSleepStudyを作る

  1. コマンドプロンプトを管理者として開き、powercfg /aを実行する。
  2. 「S0 Low Power Idle」が表示されるか確認する。SleepStudyはModern Standby対応PC向けです。
  3. powercfg /sleepstudyを実行し、作成されたHTMLレポートを開く。

HTMLは現在の作業フォルダーに保存されます。保存先を指定するならpowercfg /sleepstudy /output "sleepstudy.html"。既定では直近3日を対象にします。powercfg /sleepstudy /duration 7なら7日分で、上限は28日です。

S0 Low Power Idleに対応していない場合は、無理にレジストリを変更して有効化しないでください。SleepStudyはWindows 11のすべてのPCで使えるわけではありません。

作成したSleepStudyレポートを解析する

powercfg /aでModern Standbyを確認し、SleepStudyの長いDC Sleep session、消費率、DRIPS、Top Offenderの順に見る流れ
図1:対応確認→レポート作成→消費率と低電力状態→活動項目、の順に見ます。 スマホでは図を横にスクロールできます。

長いスリープを選び、2つの数字を見る

レポートでは、バッテリー駆動を「DC」、一続きの記録を「session」と表します。まずDURATION(継続時間)と電源の種類を見て、1時間を超える長いDCのSleep(スリープ状態)を探してください。短い記録だけで判断するより、普段の使い方を捉えやすくなります。

  • 消費率:ENERGY CHANGEにある電池の減少割合を、経過時間で割った値です。6時間で3%減ったなら、1時間あたり0.50%です。
  • DRIPS:PCの中心となるチップ(SoC)が、最も深い低電力状態にいた時間の割合です。「% LOW POWER STATE TIME」で確認できます。バッテリーの健康度ではありません。

MicrosoftのSleepの色分けでは、消費率が1%/時以上、またはDRIPSが80%未満なら赤(Red)の条件に当たります。

黄色(Yellow)の条件は消費率が約0.33~1%/時、またはDRIPSが80~94%です。両方の数字で判定するため、消費率だけでは色は決まりません。

色は調査の目安で、すべてのPCに共通する「正常な電池消費量」の基準ではありません。表示の丸めもあるため、境界値付近は慎重に読みます。

短い記録と画面オフの扱いについて

なお、全体のModern Standby sessionが10分未満の場合は追跡されません。Windows 2004以降で個別のScreen Off(画面オフ)やSleepの詳細を表示する2分の条件とは別です。Screen OffはSleepと異なり、色分けも主に消費率を使います。以下はSleepだけを比べます。

同じ3%の消費でも、判定は変わった

読み方の違いが分かるよう、4つの比較用データを作りました。すべてバッテリー駆動で6時間、満充電容量は50,000 mWhです。

同じ3.0%の消費でも、低電力状態にいた時間によって、黄色と赤に分かれました。

MicrosoftのSleepの基準を合成データに当てはめた結果(全件6時間)
比較例6時間の消費量消費率 / 時DRIPS色分け
A:消費が少ない500 mWh / 1.0%0.17%97%緑(Green相当)
B:中程度の消費1,500 mWh / 3.0%0.50%90%黄(Yellow相当)
C:消費が多い4,500 mWh / 9.0%1.50%96%赤(Red相当)
D:低電力状態が短い1,500 mWh / 3.0%0.50%65%赤(Red相当)

計算式は「消費mWh ÷ 50,000 mWh × 100 ÷ 6時間」です。Aは1.0 ÷ 6 = 0.166…%/時(表示0.17)、BとDは3.0 ÷ 6 = 0.50%/時、Cは9.0 ÷ 6 = 1.50%/時になります。比較には色分けの境界値を避けた数値を使いました。

6時間の合成Sleepで1時間あたり電池消費率はAが0.17%、Bが0.50%、Cが1.50%、Dが0.50%
図2:Cは消費率が1%/時以上。BとDは消費率が同じでも、DRIPSが違います。 スマホでは図を横にスクロールできます。
合成SleepのDRIPSはAが97%、Bが90%、Cが96%、Dが65%。Dは80%未満
図3:DはDRIPSが80%未満でRed相当。CはDRIPSが高くても消費率によってRed相当です。 スマホでは図を横にスクロールできます。

CとDはどちらも赤ですが、Cは消費率が高く、Dは低電力状態にいた時間が短い例です。

Cは消費量、Dは低電力状態に入れていない時間に注目します。赤の表示だけで原因を決めず、数字の内訳を確認してください。

活動項目を手がかりに、原因を絞る

消費の多い時間帯が分かったら、Top Offendersを見ます。これはスリープ中に活動時間が大きかった部品や処理の一覧で、原因を探す手がかりです。

上位に載った項目が、そのまま根本原因とは限りません。

該当時間帯のアプリ、通信、接続機器を合わせて確認します。Microsoftの調査例には、メールやネットワークの活動、低電力状態に入れないドライバーなどが挙げられています。今回のデータに入れた「ToolPipo Synthetic Network Activity」などは架空名で、実際の原因を示すものではありません。

Windows UpdateやPCメーカーのドライバー・ファームウェア更新情報も確認できます。ただし、レポートだけで機器を無効化したり、非公式のレジストリ変更でスリープ方式を切り替えたりするのは避けてください。

比較に使ったレポートをダウンロードする

Windowsが生成した実レポートではありません。

ToolPipoが作ったHTMLで、4つの数値、計算方法、架空のTop Offenderを確認できます。外部スクリプトや外部リソースは含みません。

合成SleepStudyレポートをダウンロード(HTML)

容量の劣化を調べたいなら、別のレポートを使う

SleepStudyが追うのは、Modern Standby中の状態や活動です。バッテリー容量が以前より減ったかを知りたい場合は、容量の履歴や使用状況をまとめるbatteryreportが向いています。Windowsバッテリーレポート解析で確認できます。

レポートを共有する前に、PCの情報を確認する

実際のSleepStudyには、PC名、OSやファームウェアの情報、機器の識別情報(device path)などが含まれることがあります。掲示板に生のHTMLを公開する前に、共有したくない情報がないか確認してください。今回の合成ファイルには、実在のPC名、ユーザー名、シリアル番号、device pathは入れていません。

一次資料と検証範囲

Microsoftの説明と、ToolPipoの合成データに基づく計算を分けて記載しました。実機の電力測定、Windows生成レポートの解析、個別PCの故障診断は行っていません。コンテンツ制作・計算検証方針もご覧ください。

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